東日本大震災からの復興を支援する16日開幕の自転車イベント「ツール・ド・東北2017」(河北新報社、ヤフー主催)で、被災者向け無料情報紙を発行する任意団体「石巻復興きずな新聞舎」(宮城県石巻市)の岩元暁子代表(34)が、参加者の民泊を受け入れる。震災後、石巻に移住した岩元さん。取材で知った復興の難しさや地域の魅力などを、「よそ者」の視点で伝えたいと考えている。
 「ホヤもワカメもすごくおいしい。おもてなししなきゃ」。大会が待ちきれない様子で、明るい笑顔を見せる。15~18日、茨城県と東京の2組、計5人のライダーを受け入れる。
 事務所はJR石巻駅近くの木造2階の一軒家。2階の6畳和室2間に泊まってもらう。5月に別の場所から引っ越したばかりで、地域の人が布団や冷蔵庫、洗濯機を譲ってくれた。
 岩元さんは当初から、ツール・ド・東北との縁を紡いできた。2013年の第1回は山の中でコースの案内役を務めた。顔をしかめながら山道を登るライダーに声援を送ると、「天使の声だ」と返された。いいイベントだと思った。第2回以降も、ボランティアの募集などコーディネーターを手掛けた。
 第5回を迎え、大会は石巻に定着してきたと実感する。「自転車を買った」「参加を申し込まなきゃ」。耳にした市民の声に「民泊を受け入れて楽しかった」という感想があった。
 迷いはあった。民泊は地元の人と県外の人が交流してこそ意味がある。自分は横浜市出身の移住者だ。
 石巻で暮らして5年。「石巻の実情、仮設住宅や災害公営住宅の課題を自分なりに語れるのではないか」と思い、民泊の受け入れを決意した。
 震災から6年半となり、被災地は県外の人から「落ち着いたのではないか」と言われることがある。継続して取材し、見えてきたのは災害公営住宅のコミュニティー形成の難しさや、仮設住宅に残る人たちの交流の寸断だった。
 現状の厳しさの一方、豊富な地場の食材など、地元の人が気付きにくい被災地の魅力も発見した。
 被災地を見詰めてきた「よそ者」だからこそできる民泊の受け入れもあるはずだと考えた。「県外の参加者にもっと石巻を知ってもらえるよう情報を提供したい」。明るく、元気に、ライダーの到着を待つ。