2014年ソチ冬季五輪ボブスレー男子日本代表の黒岩俊喜(24)=仙台大大学院2年=がスケルトンに転向し、22年北京五輪を目指している。転向後初シーズンの昨季は全日本選手権で8位に入り、好感触を得た。最大の武器であるスタートダッシュのスプリントに磨きを掛け、今季は世界を舞台に活躍を誓う。
 ソチで身にまとっていた隆々とした筋肉はもうない。体重は92キロから78キロに落ちた。スケルトンは空気抵抗を減らすため、スリムでしなやかな筋肉が必要になる。転向2季目の今季は肉体改造の真っ最中だ。
 4人乗りでブレーカーとして出場したソチは26位。その後2シーズンはパイロットを務めたが、世界の舞台で結果を残せない。「心が満たされず、もやもやしていた」。ボブスレーでは190センチ、100キロの体格が世界の水準。172センチの黒岩は厳しい現実に直面した。
 競技転向は平昌五輪を捨てることを意味していた。「このままでは五輪選手というだけで終わってしまう。メダルが取りたい」。日本ボブスレー界の将来を担う存在と期待されていたが、悩み抜いて決断した。
 転向当初は腹ばいになる滑走姿勢などに慣れず、壁に激突して体はあざだらけ。毎晩、深夜までイメージトレーニングを繰り返した。昨年12月の全日本選手権は五輪で培った集中力を発揮して8位に入り、周囲を驚かせた。昨季後半は若手の登竜門という位置付けのノースアメリカンカップの派遣選手に選ばれた。
 技術はまだまだ粗削り。それでも、神奈川・橘高陸上部の短距離で鍛えた脚力は魅力だ。かがみながらそりを押す独特のフォームに対応しようと、股関節を柔らかくして脚の可動域を広げるトレーニングに励む。現在5秒3台のスプリントを5秒0台の世界レベルに引き上げたい。
 今季も10月からノースアメリカンカップに参戦し、入賞を狙う。12月の全日本選手権は5位以内が目標だ。「世界は今、スタートの速い選手が勝っている。スプリントを大事にして戦いたい」。北京に向けて実績を積む。(佐藤夏樹)