任期満了に伴う岩手県の八幡平市長選が17日、告示される。「農(みのり)と輝(ひかり)の大地」をキャッチフレーズに、3市町の合併で新市が誕生してから12年。高原都市の観光振興と市街地活性化を探った。

<目玉なし>
 スキー場に隣接して宿泊施設が並ぶ松尾寄木地区で13日朝、老舗ホテルから台湾の観光客が次々バスに乗り込んだ。
 ホテル従業員が旗を手に見送る中、ガイドの蕭珮玲(しょうはいれい)さん(47)は「台湾人が喜ぶサービスが多い。食べ物も温泉も充実している」と満足そうに語った。
 ホテルは昨年、台湾からの観光客誘致にかじを切った。行楽シーズンの10月は、予約の7~8割が台湾からの客で埋まっている。戦略は当たったが「日本人観光客は現状維持が精いっぱい」と支配人工藤正人さん(55)の表情はさえない。
 訪日外国人旅行者(インバウンド)の増加や花巻空港のチャーター便就航を背景に、市の外国人観光入り込み客数は確かに増えている。2016年度は3万4870人で、市観光振興計画が21年度の目標値とした3万2000人を既に上回った。
 ところが、観光入り込み客数の全体数値は「横ばい傾向」(市商工観光課)が続く。
 十和田八幡平国立公園や安比高原など自然を満喫できる観光資源には恵まれているが、スキー人気の衰えでゲレンデの利用客は減少。期間営業に移行したホテルや廃業する民宿もあり、関係者の危機感は強い。
 工藤さんは「市内に外国人を呼べる大きな目玉がない。観光地として知名度を上げていきたい」と語る。

<人まばら>
 合併時に3万1079だった市人口は、8月末現在で2万6362。住宅と商店が集積する大更地区も人通りはまばらだ。
 市は商店の活性化を図ろうと12年、JR大更駅を中心とした整備計画を策定。都市計画道路の整備、区画整理による商業施設の配置、西根病院(同市田頭)の移転、住宅団地の造成と再開発メニューが並ぶ。
 来年3月には新しい駅舎が完成し、整備計画は実施段階へ進む。市建設課は「駅前に人を集め、にぎわいを取り戻したい」と期待を膨らませる。
 だが、大更駅の近くで商店を営む男性(61)は「再開発の効果は未知数。体力のある商店でなければ駅前進出は難しい」と冷ややか。それでも「このまま衰退を待つわけにはいかない。店舗を集めるには一過性でない補助が必要だ」と市に注文を付けた。
 市長選には、4選を目指す現職の田村正彦氏(69)と新人の市議工藤直道氏(59)が立候補を予定している。投開票は24日。