大学生らが東日本大震災で起きたことに向き合う通年講座「311『伝える/備える』次世代塾」が16日、仙台市宮城野区の東北福祉大仙台駅東口キャンパスであった。テーマは「ボランティアの力」。津波で被災した若林区東部で農業復興による地域支援に取り組む学生グループ「リルーツ」代表の広瀬剛史さん(43)と、津波に襲われた民家の泥かきに汗を流した元「スコップ団」団長(現「青空応援団」団長)の平了さん(39)の体験談を聴いた。

◎復興へ媒介役果たす/一般社団法人「リルーツ」代表 広瀬剛史さん(43)

 震災直後のボランティア経験で行政には「上から目線」、民間には「自分優先目線」があり、被災した当事者の視点が欠けていると感じた。相手の立場に立って、必要とされることに自分たちで取り組もうと2011年4月に「リルーツ」を発足させた。
 農地ががれきだらけになった若林区東部を活動エリアとし、復旧から復興、さらには地域おこしに向けた長期的支援をしようと活動を始めた。まずは田畑に埋まったがれきの撤去に着手し、累計約3万人のボランティアを全国から受け入れて農地復旧を進めた。
 震災後の大幅な人口減少でコミュニティーの再生が課題となる中、メンバーの学生たちは野菜づくりも始め、地元農家との関係が密になった。メンバーからは3人の新規就農者も出た。
 地域のプレーヤーとして、被災農家が育てた野菜の販売や市民農園の運営、「わらアート」なども行っている。復興を促す媒介の役割を果たしていきたい。

◎「いい普段」積み重ね/元「スコップ団」団長 平了さん(39)

 震災直後は何をしていいか分からず、まずは現場の要望を聞こうと努めた。ご遺体の腐敗を防ぐため、安置所にドライアイスが必要と聞いて動くと、ネット上で「消臭剤を使えば」などと言われた。自分の家族が亡くなったら使うだろうか。「人の心も分からない人間には嫌われてもいい」と覚悟したら、楽に動けた。
 素人でも、津波で被災した建物の泥かきならできると「スコップ団」を立ち上げた。主に通ったのは支援が薄かった宮城県山元町。ボランティアの出入りが制限されていた時は、住民の「友達」を名乗った。延べ8000人が参加し、312軒をきれいにできた。
 「やったことがない」と「できない」を一緒くたにして、何もしない人になってはいけない。普段、身近な人に親切にできていないのに、災害時だけボランティアになるのもおかしい。まずは「いい普段」の積み重ね。そうして仲間ができればいざという時、一人ではできないことができる。

◎受講生の声

<自分の活動確認>
 震災から6年半以上がたった今なお、連日早朝から活動しているリルーツは素直にすごいと思いました。自分が関わっているボランティア活動は本当に支援になっているのか、自己満足に終わっていないかも考えさせられました。(岩沼市・尚絅学院大3年・21歳)

<相手考えて支援>
 自分のやりたいことをするのではなく、相手の立場に立って行動するのが真の支援者だと学びました。地元いわき市で原発事故の恐怖を経験し、今も検診を受けている身としてはことさら考えさせられる講話でした。(仙台市青葉区・東北福祉大3年・21歳)

<日常の行動大事>
 誰も気付かないようなニーズに応えるため見返りもないのに行動し続けた講師の話に、人助けに理由はいらないのだと学びました。平時にできないことは有事もできない。普段から考えて行動したいです。(宮城県大河原町・東北学院大3年・21歳)

<メモ>「次世代塾」は、河北新報社などが震災の伝承と防災啓発の担い手育成を目指して企画した年15回の無料講座。次回は10月14日。連絡先は同社防災・教育室=メールjisedai@po.kahoku.co.jp
 運営する311次世代塾推進協議会の構成団体は次の通り。河北新報社、東北福祉大、仙台市、東北大、宮城教育大、東北学院大、東北工業大、宮城学院女子大、尚絅学院大、学都仙台コンソーシアム、日本損害保険協会、みちのく創生支援機構