まさに電車道。阿武咲が圧巻の押し相撲で貴ノ岩を下し、新入幕から3場所連続で2桁の勝ち星を挙げた。これは、1場所15日制が定着した1949年夏場所以降では初となる。1横綱1大関を破り、秋場所の台風の目となったホープは「最後、いい形で終われた」。取組後の支度部屋では、張り詰めていた緊張の糸がすっとほどけたようだった。
 場所を通して見ていると、静かな物言いがとても21歳とは思えない。初日から唯一の5連勝を飾っても「意識することではない」と一喜一憂しない。6日目に土がつくと「自分の若いところ。勉強ですね」。落ち着きを強みに上位陣に挑み続けた。
 唯一興奮を抑え切れなかったのは、横綱日馬富士を破った5日目の結びの一番だ。紅潮した顔で「あまり覚えていない。うれしいっすね」。控えめながらも声が弾んでいた。
 来場所も上位陣との対戦が続く。「チャレンジャーの気持ちで相撲を取るだけ。楽しみ」。一年納めの九州場所で、もう一花咲かせるつもりだ。(剣持雄治)