東日本大震災で壊滅的な被害を受け、かさ上げされた岩手県陸前高田市の中心市街地に1日、共同店舗「陸前高田まちなかテラス」が開業した。「先輩や先代が築き上げたまちの歴史を忘れない」。各店舗は店名の下にそろって創業年を記し、新たなスタートを切った。
 テラスは美容室、ラーメン店など5店舗で構成。このうち4店が1日に営業を始め、待ちわびた常連客らでにぎわった。
 そば店「やぶ屋」は1961年の創業。店主の及川雄一さん(50)は、津波で亡くなった父信雄さん=当時(70)=の後を継ぐ3代目だ。仮設店舗で営業を続けながら、父の味に近づけようと試行錯誤してきた。
 震災前の店舗は借家だったため、建物整備の補助金が得られず再建の壁に直面した。悩む及川さんを鼓舞してくれたのは長女(11)だった。「店をやめるならお父さんを嫌いになる」。大好きだった信雄さんの店を誇りにしていた。
 仮設店舗で隣の区画に入居していた和雑貨店「いわ井」社長の磐井正篤さん(60)に誘われ、テラスに加わると決心した。「中心市街地を再びにぎやかにしたい」と意気込む。
 1747年創業のいわ井は、みこし飾り職人、酒造り、酒販店など時代とともに業態を変えつつ、まちに根付いてきた。12代目の磐井さんは仲間と合同会社を設立し、共同店舗の実現に奔走してきた。商店街をシャッター通りにしてはならないという一心だった。
 人口減少に歯止めがかからない中での再出発に不安もあるが、磐井さんは「商業者だけでなく市民と共に新しいまちをつくりたい」と決意を語った。