東北芸術工科大(山形市)の文化財保存修復研究センターが、鶴岡市の善宝寺にある五百羅漢像など計531体を約20年かけて修復するプロジェクトを本格的に始めた。江戸時代に制作されたとされる像は損傷が激しい物もあり、五十嵐卓三住職(87)は「像には寄進した方の心が込められている。直してもらった像は、善宝寺にとって新たな光になるはずだ」と期待を寄せている。

 善宝寺は平安時代、妙達上人という天台宗の高僧が開いた「龍華寺」が起源とされ、海を守護する竜神を祭っていることから、全国の漁業関係者らの信仰を集める。
 境内にある五百羅漢堂は江戸時代末期の1855年に建てられ、国の有形文化財に登録されている。五百羅漢像も同時期に京都で制作されたと伝わるが、制作者など詳しいことは分かっていない。
 善宝寺から依頼を受けたセンターは、2015年に調査に着手。これまで五百羅漢像、釈迦(しゃか)三尊像や四天王像など計531体の状態を確認し、作業の本格化に向けて準備を進めてきた。
 像の大半を占める羅漢像は高さ約60センチ、幅約30センチ、奥行き約45センチ。表面に施された彩色が剥がれていたり、ほこりが積もったりしているほか、腕や顔が取れている物もあるという。
 今年8月には文化財保存修復学科の学生が寺で合宿し、一部の像を梱包(こんぽう)して同センターへ移動させた。本年度は12体を修復する予定だ。
 修復に当たる4年の栗原典子さん(24)は「とても繊細なので扱うのが怖い部分もあるが、貴重な作業をさせてもらっているので頑張りたい」と話す。
 センターは詳細な状態を確認した後、薫蒸や表面に積もったほこりを除去した上で、剥離した表面の修復などの作業に入る。
 修復を監修する柿田喜則教授(古典彫刻修復)は「修復するだけでなく、いつ誰がどこで像を作成したのかなど、歴史の解明にもつながる可能性がある」と話している。
 修復には約2億3000万円もの費用がかかり、寺は寄付を募っている。連絡先は善宝寺0235(33)3303。