自民、公明両党が推す現職と野党連合が支援する新人による一騎打ちの公算が大きい山形県の鶴岡市長選(8日告示、15日投開票)が、衆院選山形3区の前哨戦としてヒートアップしている。現職が敗れれば、自民前衆院議員の加藤鮎子氏(38)にも打撃となるだけに、自公陣営は旧庄内藩主・酒井家の現当主を応援弁士に招くなど現職支援に躍起。「市民党」を掲げる新人陣営は、建設費の増額が相次いだ新文化会館問題などで現職批判を強める。
 「こういう席に立つのは初めてです」。9月下旬にあった現職の榎本政規氏(68)の総決起大会。酒井家18代当主で致道博物館館長の忠久氏がマイクを握り、支持を呼び掛けた。短い演説にもかかわらず、選挙に表立って関与してこなかった「殿様」の登壇に、参加者から驚きの声が漏れた。
 壇上には、榎本氏と二人三脚の選挙戦を展開する加藤氏に加え、酒井家の先祖を祭る神社関係者や地元経済界の重鎮も並び、陣営幹部は「保守勢力の面目躍如だ」と胸を張った。
 だが、豪華弁士の登場は陣営の焦りの裏返しでもある。市長選で対立候補となる元農林水産省職員、皆川治氏(43)は4月の立候補表明以降、文化会館問題など現市政への不満の受け皿となり、市内各地に急速に支持層を拡大。民進系、共産党など非自民勢力の支援も受ける。
 選対本部長には、希望の党公認として衆院選に立候補を予定し、加藤氏と対決する元議員阿部寿一氏(58)の後援会幹部が就任。9月の決起集会には、阿部氏も応援メッセージを寄せた。
 2014年の前回衆院選で、加藤氏は3区の有権者数の3割以上を占める地元鶴岡市で圧勝することで、元酒田市長の阿部氏に競り勝った。ある自民党県議は「お膝元の市長選に敗れれば、衆院選の投票日まで陣営の士気を保てるか分からない」と影響の大きさを指摘する。
 阿部氏本人は「鶴岡市長は鶴岡市民が決めること。(衆院選山形3区の)代理戦争ではない」と話すが、皆川氏の後援会幹部からは「選挙のお礼は選挙が常道」と、市長選後の共闘を見据えた発言も漏れる。