東京電力福島第1原発事故を巡る福島地裁判決で、国の責任が全面的に認められたことなどを受け、原告側弁護団は10日、福島市で開いた判決後の記者会見で「全ての被災者救済の足掛かりになる」と評価した。一方、原告からは「認定額などが被害に見合っていない」などと不満も漏れた。
 「国や東電の賠償は極めて不十分だという司法のメッセージだ」。弁護団共同代表の馬奈木厳太郎弁護士(東京)はこう強調した。
 判決は津波の予見可能性を認め、国が東電に対策を命じなかったことを「著しく合理性を欠く」と糾弾。国が定めた基準「中間指針」に基づく東電の賠償では不十分と認定した。
 特に中間指針から外れた福島県南などが対象とされたことに、弁護団は「訴訟の原告だけでなく、広く被災者救済を図れる枠組みができた」と評価した。
 ただ、認定された賠償の対象期間は今年3月の弁論終結まで。将来予想される損害の請求は却下され、馬奈木弁護士は「認定のハードルはやはり高かった」と悔しさをにじませた。
 認定された賠償額も約5億円と請求額約160億円のわずか約30分の1。会津地方や宮城県などの約1000人は請求さえ認められなかった。
 記者会見に同席した中島孝原告団長(61)=相馬市=は「認められた賠償水準は被害の実態と一致していない。全ての被災者が被害に見合った救済を勝ち取るまで戦う」と語った。