岩手県釜石市で13日に始まる「釜石まつり」で、今年も尾崎神社のご神体が海上を渡御する「曳(ひ)き船(ふね)まつり」が執り行われる。5月に起きた大規模山林火災で尾崎半島にある奥宮とご神体は、間一髪で焼失を回避。地域の宝を守り通した人々を伴って対岸の里宮へと渡る。
 火災は5月8日の昼ごろ発生した。無人の奥宮には徒歩か船でしかたどり着けないため、佐々木裕基宮司(52)は地元消防団員らと一緒に漁船で半島北側の青出浜(あおだしはま)に上陸し、ご神体を里宮に避難させた。
 火の手は奥宮の手前まで迫ったが、消防団員らはポンプで海水をくみ上げて消火活動を続けた。社務所が一部焼けたものの、拝殿への延焼は食い止めた。
 神社は800年以上の歴史を有し、漁師が豊漁や安全を祈願する神聖な場所とされてきた。消防団員で尾崎白浜町内会の佐々木貞夫会長(68)は「初漁の際は必ず参拝する。絶対に火から守るとの一心で、みんな懸命に消火活動に当たった」と振り返る。
 佐々木宮司は「奥宮が無事だと知ったときは涙が出た。多くの人の支えで、いつも通りに祭りができる」と話し、地元の消防団と漁協に感謝状を贈る予定だ。
 曳き船まつりは14日午前10時から。釜石まつりは尾崎神社と釜石製鉄所の山神社の合同祭で、最終日の15日は両神社のみこしや神楽、虎舞が市内を練り歩く。