衆院選は22日の投開票まで9日に迫り、攻防は日増しに熱を帯びている。政権継続による安定を掲げる自民党の候補者に対し、野党再編で分裂した希望の党や立憲民主党、無所属の候補らは刷新を訴えて切り崩しに挑む。県内6小選挙区で繰り広げられる戦いの現場に迫った。(敬称略)

◎宮城1区
 東北の中枢で3選を重ねた意地と、復興副大臣の自負が言葉ににじむ。
 仙台市青葉区子平町で11日にあった個人演説会。自民党前議員土井亨は約150人を前に「役に立てるのは私だけだ。負けるわけにはいかない」と言い切り、深々と頭を下げた。
 4度激戦を演じた元衆院議員郡和子は8月、仙台市長に転身。昨年の参院選に続き、郡を勝利に導いた野党共闘に危機感は強かったが、民進党は希望の党との合流で分裂した。自民有利との観測が広がる。
 1区は「風」に左右されやすい。地方議員や後援会組織の足場を地道に固めてきた自信はあるが、「油断禁物。何とか逃げ切りたい」と陣営幹部。公示日は首相安倍晋三が仙台入りし、陣営を引き締めた。
 「党から東北で挑戦するのは1人。力を貸してほしい」。立憲民主党新人岡本章子は12日、青葉区一番町の商店街を練り歩き、名前の売り込みに奔走した。
 約25分間で50回近く党名を連呼。陣営は「党への反応が意外に良く、『立民イコール岡本』を印象付けたい」と狙いを語る。仙台市議時代から地盤とする太白区に比べ、知名度が低い青葉区でてこ入れを急ぐ。
 党代表枝野幸男は仙台を第一声に選び、「宮城は野党共闘の実績がある」と力を込めた。「『選挙区で勝て』というメッセージ。比例復活では済まされない」。緊張感が陣営を覆う。
 希望新人伊藤優太の元に11日、党代表の東京都知事小池百合子が応援に駆け付けた。青葉区のJR仙台駅前で「安倍1強政治を許さない」と呼び掛けた。
 「来てもらえれば流れは変わる」と公示前に読んでいた伊藤。ただ聴衆から大きな拍手が湧き起こる場面は少なく、期待した熱狂には程遠かった。小池劇場の旋風は、一時の勢いを失いつつある。伊藤は再び風を巻き起こそうと、一人自転車で選挙区を走り回る。
 日本維新の会新人畠山昌樹は街頭で消費増税凍結と、身を切る改革を訴える。

◇宮城1区立候補者

土井  亨59☆復興副大臣  自(細)前(3)
(公・日推)
岡本 章子53☆党県代表   立◆新 
畠山 昌樹43☆医師     維 新 
伊藤 優太32☆元仙台市議  希 新 
油井 哲史37 幸福実現党県代表 諸 新 
今留 尚人52 医師     無 新 

〔注〕☆は比例代表との重複立候補者。
◆は解散時民進党公認の立候補者


◎宮城2区
 公示後2日目の朝には、既にのどがつぶれていた。
 「野党全てが相手の味方に付いた。多勢に無勢の厳しい選挙だ」。12日午後、仙台市若林区の災害公営住宅前に立った自民党前議員秋葉賢也は、しわがれ声に危機感をにじませた。
 2区に立候補した過去4回は、野党候補が複数出て秋葉が浮上する構図だった。今回は初めて野党が一本化。不安を拭えぬ秋葉は、毒づく弁舌もいとわない。
 首相安倍晋三と並んだ10日のJR仙台駅東口。対戦する無所属元議員の鎌田さゆりが13年前、議員辞職に追い込まれた支持労組の選挙違反事件に触れ、「公正で爽やかに、クリーンに戦う」と嫌みを吐いた。
 「共産の応援候補に議席は渡せない」と各地で繰り返す秋葉。「反共」をくすぐって保守の結束を促す。
 鎌田は11日、宮城野区の幸町団地に立った。「安倍政権に終止符を打つ手段として私を使ってほしい」と言った直後、約1メートルの垣根を軽快に跳び越えて女性に握手を求めた。
 選挙カーで移動中は助手席から上半身を乗り出し、大きく腕を振る露出術。地方、国政合わせて過去8回の選挙戦で鍛えた空中戦は迫力を増してきた。
 7月の仙台市長選を引き継ぐ民進、共産、社民各党県議、市議の共闘は固い。秋葉に「中核は共産だ」とあおられても「仕返ししない。クリーンさが傷付く」(陣営幹部)と受け流す。
 選挙戦序盤で地元の泉区を固め、中盤以降は宮城野、若林両区を重点エリアに位置付けて攻勢を仕掛ける戦略だ。約20年前に自民市議だった縁(えにし)を生かし、保守層の切り崩しも強める。

 ◇宮城2区立候補者

秋葉 賢也55☆党政調副会長 自(無)前(5)
(公・日推)
鎌田さゆり52 元宮城県議  無◆元(2)

〔注〕☆は比例代表との重複立候補者。
◆は解散時民進党公認の立候補者