衆院選(22日投開票)の秋田1区で、希望の党新人の松浦大悟候補(48)と、前回2014年衆院選の同区で惜敗し、希望の比例東北に転出した民進党系前議員寺田学候補(41)の連携に暗雲が漂っている。松浦氏は解散風が吹き始めた直後、希望からの立候補を突如表明。民進の予定候補だった寺田氏を押しのける形になった。「打倒自民」に両氏の共闘は不可欠だが、溝が埋まる気配は見えない。
 「14年間、この選挙区で戦い続けてきた。(立候補できない)悔しさは今もなくならない」
 寺田氏は公示日の10日、秋田県庁前であった松浦氏との合同演説で、終始沈痛な表情で真情を吐露した。2人は最後まで目を合わせることはなかった。
 松浦氏は昨年7月の参院選に民進公認で立候補し、落選。その後、離党した。年内解散が急浮上した今年9月、松浦氏は小池百合子東京都知事系の政治塾に参加し、希望に県内選挙区からの公認を申請した。
 民進、希望両党は調整の末、1区から民進公認予定の寺田氏を降ろし、松浦氏の擁立を決定。寺田氏は「政権打破のために名を捨て」、選挙区を明け渡した。
 調整が決着した今月3日、寺田氏は県庁で記者会見し、「自民を倒そうと戦ってきた仲間が、野党が割れてでも出ようとしたことは残念だ」と松浦氏への不快感を隠さなかった。
 10日の街頭演説では、並んで立つ松浦氏に向かって「(立候補に至る経緯について)選挙戦で説明責任を果たしてほしい」と突き付ける場面があった。
 松浦氏はその場で「悩んだが、秋田には(自民、民進以外の)もう一つの選択肢が必要だ」と強調。「どんなに批判されてもいい。二大政党制を秋田につくりたい」と、寺田氏に理解と支援を求めた。
 選挙戦が進み、寺田氏は支持者に松浦氏支援を呼び掛けるものの、寺田氏に近い関係者は「松浦氏の名を書きたくない支持者は少なくない」と打ち明ける。
 一方、迎え撃つ自民党前議員の冨樫博之候補(62)は着々と自陣を固める。冨樫氏は前回、寺田氏の2度目の挑戦を退けた。ただ、前々回12年に約2万4000票だった票差は約8600票差まで縮小。寺田氏の比例復活を許した。
 陣営幹部は「正直に言って、寺田氏より、松浦氏が相手で良かった」と胸の内を明かした。