山形県新庄市五日町の円満寺で、安全上の理由などから伐採せざるを得なくなったスギの巨木を使い、同市のチェーンソーアーティスト栗田広行さん(43)が9月下旬から制作していた十一面観音像が完成した。チェーンソーアートによる木像はあまり例がないという。

 十一面観音像は、山尾順紀住職(65)が、寺のシンボルでもある高さ約30メートルのスギの巨木(樹齢約350年)を活用し、屋外でも参拝できる仏像を-と、栗田さんに制作を依頼した。
 巨木は内部の腐食が進んでいたため、栗田さんは根元から約4メートルまでの部分を残して立木の状態で光背として活用することにした。
 本体は同じく伐採することになっていた樹齢約200年のスギを使い、高さ2メートル60センチの像に仕上げ、光背の中に据え付けた。
 柔らかな表情をたたえる顔といった細かな部分も彫刻刀やのみは使わず、実質わずか18日間の作業で完成させたという。
 栗田さんは「材のこぶや節などの状況を見て、デザインや表情を微妙に変えた。観音像が大きくなるようにポーズなどを工夫した。多くの人に見てもらえる仕事ができた」と話す。
 山尾住職は「期待通りの素晴らしい仕事。制作過程を記した銘板を建てて、多くの方に見に来てもらえるようにしたい」と喜んでいる。
 寺によると、境内の樹木は全体的に老化が進み、今回はスギやクリの木など8本を伐採した。栗田さんは今月末、さらに別のスギ1本を使って不動明王の制作に着手する予定だという。