タケダワイナリー(山形県上山市)は、ロングセラー商品「蔵王スター」の販売を、2016年に仕込んだワインと17年の限定商品でいったん終了することを決めた。表ラベルに表記できる地名について、国税庁が新たに定めた基準に対応する措置。来春からは、後継のワインを販売する。
 新たな基準は18年10月に完全施行される。表ラベルにワインの産地として地名を表記できるのは、原料のブドウを85%以上収穫した地域で醸造した商品に限られる。
 蔵王スターの白ワインは蔵王山麓に位置する上山市の農家が栽培したデラウェア種を使用。他方、赤ワインの原料のマスカット・ベリーA種の主な産地は天童市で、蔵王山麓から外れるとの見解もある。このため同社は地名表記の規定に抵触すると判断し、白、赤ともに販売終了を決定した。
 蔵王スターは1920年、創業家3代目の武田重三郎氏が醸造して売り出した「金星ブドー酒」が起源。後に同社から一望できる蔵王連峰と屋号「金星」を組み合わせた現商品名に改め、79年に発売した。山形、宮城両県を筆頭に全国で、累計販売本数1300万本を数える同社の看板商品だ。
 岸平典子社長は「長年親しまれた商品名を切り替えることには葛藤があった」と明かす。だが、産地のラベル表記を厳格化した新基準の趣旨に賛同。「明確な表記はワインを選ぶ消費者の利益になる。健全な法運用のため、範を示すべきだと考えた」と説明する。
 後継のシリーズは白が「タケダワイナリー・ブラン」、赤が「同ルージュ」。蔵王スターと同じ栽培農家のブドウで醸造する。一方で「上山市でマスカット・ベリーA種を作りたいと話す農家が増えている」と岸平社長。将来、上山産の原料が確保できるようになれば、蔵王スターが復活する可能性があるという。