抗がん剤治療の副作用などによる頭髪の脱毛に悩むがん患者の社会参加を後押ししようと、秋田県は本年度、医療用ウィッグの購入費の助成を始めた。都道府県の助成制度は山形、鳥取両県に次ぎ3例目。10月20日現在、125人が利用している。外出時に欠かせない医療用ウィッグへの助成は、高額の医療費を負担する患者から「経済的にも助かる」と好評だ。
 県の助成は上限1万5000円。県内では全25市町村中、秋田、能代両市をはじめ15市町村で最大3万円の補助があり、県の制度と合わせて利用できる。
 秋田市で医療用ウィッグを販売する「メディケアサロン秋田店」によると、ウィッグの価格は既製品で3万円程度。6万~10万円のセミオーダー品の購入者が多い。頭の形に合わせてオーダーメードすると、60万円以上かかることもある。
 「闘病中、ウィッグは外出するのに必需品だった。心身共にダメージを受ける患者にとって、金銭的な支援はありがたい」。2年前にがんを患い、ウィッグを自費で購入した秋田市の美容師長沢美歌さん(47)は県の助成制度を歓迎する。
 県が制度導入を決める判断材料になったのは、県がん対策室が昨年6~8月、県内7病院と協力して実施したアンケート。がん患者約380人の約7割がウィッグを購入していた。同室の担当者は「購入費を助成することで患者の社会参加を後押しできる」と狙いを語る。
 県地域がん登録集計報告によると、県内では2014年、新たに9596人ががんに罹患(りかん)した。うち、ウィッグの利用が多い女性は全体の約43%だった。
 メディケアサロン秋田店代表の美容師珍田清さん(50)には、来店した患者の中で印象に残る女性がいる。髪の毛がなくなった自分の姿を直視できず、暗い表情だったのが、出来上がったウィッグを着けた瞬間に笑顔が広がったという。
 「ウィッグは患者に前向きに生きる力を与える」と珍田さん。「誰もががんにかかる可能性がある。多くの自治体で助成が広がってほしい」と語る。