東京電力福島第1原発事故の帰還困難区域に設ける「特定復興再生拠点区域」(復興拠点)を巡り、安倍晋三首相は10日、福島県大熊町の整備計画を認定した。JR常磐線大野駅や県立大野病院(休止中)を中心に町面積の約1割に当たる約860ヘクタールが対象。2022年春までに全域の避難指示解除を目指す。

 対象地域は国費で除染と家屋解体、インフラ復旧を一体的に進める。本年度内に着工する見通しで、総事業費は未定。
 避難指示解除から5年後となる27年の居住人口は約2600と設定。大野駅周辺の一部と町役場を新築移転する居住制限区域の大川原地区を結ぶ道路沿線は、常磐線が全線運転を再開する20年3月までに先行解除する。
 大野駅周辺地区(約230ヘクタール)は居住生活環境を再整備する。西部と南部の下野上地区には、中間貯蔵施設建設に伴う代替地の確保を目的にした居住・営農ゾーン(約510ヘクタール)と、廃炉関連企業の誘致を進める産業・交流ゾーン(約100ヘクタール)を設ける。
 国道6号沿いなどにはガソリンスタンドやコンビニの立地を想定する。常磐自動車道に開設する大熊インターチェンジ(仮称)や大野駅、国道6号をつなぐアクセス道路を確保する。
 復興拠点の認定は9月の同県双葉町に続き2例目。吉野正芳復興相は10日の閣議後記者会見で「町の未来につながる第一歩。農地が入ることで、田舎に住む者として原風景を取り戻せると考えている」と述べた。
 大熊町の渡辺利綱町長は「町の復興、再生へ大きな一歩を踏み出した。計画の実現に向け、しっかり取り組む。今後は区域外になった地域の在り方を含め、将来ビジョンを町民に示していく」との談話を出した。