岩手、宮城両県にまたがる北上山地が候補地の超大型加速器「国際リニアコライダー(ILC)」を巡り、国際将来加速器委員会(ICFA)は10日、加速器の全長を31キロから20キロに短縮する新計画案を了承したと発表した。加速器の建設費を約4割削減できる見通し。建設の可否を検討する政府に対し、早期実現を求める。
 全長の短縮で、加速器本体の建設費は約8300億円から5000億円程度に抑えられる見込み。
 文部科学省の有識者会議が2015年に出した試算によると、人件費を含めたILCの総事業費は約1兆912億円で年間運転経費は約491億円。規模縮小により、総建設費も約3割削減できる。
 全長短縮で電子と陽電子の衝突エネルギーは半減する。当初想定した物質に質量を与える素粒子「ヒッグス粒子」の同時生成は難しくなる。ICFAは加速器の完成後、全長の段階的な拡張を視野に入れており、研究対象が広がる可能性はある。
 ICFAの日本代表で高エネルギー加速器研究機構(茨城県つくば市)の山内正則機構長は「コストが大幅に下がり、実現へ一歩近づいた。今後は政府をはじめ、学術界や他国の幅広い支持を集める必要がある」と述べた。
 決定を受け、北上山地への加速器誘致を目指す東北ILC推進協議会の高橋宏明代表は「計画の実現可能性が高まると期待している。政府などへの働き掛けを活発化させ、受け入れ準備を加速したい」との談話を出した。
 新計画案は8月に承認される方向だったが、技術面や費用面で検討が必要として先送りされていた。