仙南測量設計(宮城県岩沼市)が、観光資源として人気が高まっている田んぼアートの測量事業を強化している。東日本大震災の復興事業が収束に向かい、建設分野の受注増が期待できない中、新たな収入源と見込んだ。測量技術を駆使した精巧な田んぼアートを広め、宮城県南部の仙南地域の交流人口拡大に結び付けたい考えだ。
 同社は依頼主が希望するデザインを測量用のコンピューターに取り込み、高台から見下ろした際、浮き上がって見えるようにシミュレーションする。依頼主は、苗の色ごとに植える地点を算出した画像データに基づき、田植えをする。
 第1号として今年、角田市高倉地区の作品を手掛け、約20アールの水田に伊達政宗の次女牟宇(むう)姫をモチーフにしたキャラクターを描き出した。
 依頼主は地元有志でつくる「田んぼアートを楽しむ会」。目測で苗を植えてきたが、うまく表現できないこともあったといい、同会の白川芳男会長は「きちんと設計、測量すれば芸術性が増す。来年はもっと複雑な絵柄に挑戦し、観覧者を驚かせたい」と手応えをつかむ。
 同社は2016年度の経営指針で、田んぼアートを仙南地域に広げる取り組みの推進を明記。宮城県測量設計業協会仙台支部が協力する仙台市青葉区下愛子の田んぼアートを手伝うなどして経験を積んだ。
 きっかけは、加藤英司社長が昨年9月、青森県田舎館村の田んぼアートを視察したこと。同村では映画「シン・ゴジラ」などを題材にした田んぼアートに年間約35万人が来場し、昨年は約9300万円の収入を上げた。
 加藤社長は「経済効果を目の当たりにした。測量は建設以外の分野でも地域に貢献できると分かった」と振り返る。
 角田市高倉の田んぼアートを手掛けた後、同社には岩沼市や亘理町からも問い合わせがある。加藤社長は、仙南地域の全市町に田んぼアートを完成させる「仙南夢回廊」の実現を掲げ、10年後に100万人の交流人口を目指す。
 加藤社長は「人口流出に悩む仙南地域の武器になる。自社の技術を生かして域外からの人の流れをつくり、地域の活性化を図りたい」と意気込む。