「またか」「いいかげんにしてほしい」。29日未明、北朝鮮の弾道ミサイルが青森県沖の日本海に落下したことを受け、県内や山形県の漁業関係者から不安や憤りの声が上がった。

 青森県深浦町の漁師八木橋清治さん(63)は、漁に出る前にテレビのニュースでミサイル発射を知った。「生活もあるし、漁に出ないわけにはいかない。次はいつ飛んでくるかも分からず、操業の安全が脅かされている」と、やり場のない怒りを募らせた。
 深浦町漁協所属の漁船は、日本海の沖合でクロマグロなどの漁をする。この日は波が高く、漁に出たのは1隻だけだった。漁協の50代男性職員は「『またか』という感じで不安だったが、被害はない。漁に出ていないことが幸いした」と胸をなで下ろした。
 ミサイルが落下したとされる水域は、日本海中央にある大和堆(やまとたい)と北海道礼文島南南西沖にある武蔵(むさし)堆と呼ばれる二つの好漁場に挟まれた場所だ。山形県の中型イカ釣り船団がこの二つの漁場を行き来している。
 山形県漁協(酒田市)の西村盛参事は「(北朝鮮に)言っても聞いてはくれないだろうが、いいかげんにしてほしい」と憤った。
 今回は事前に発射の兆候があるとの情報が伝わっていたため、各船とも比較的冷静に対処できたという。
 青森県庁では、関係部署が対応に追われた。農林水産部は午前5時すぎまでに、日本海で操業中のイカ釣り漁船全29隻の安全を確認。午前8時45分には防災危機管理課長をトップとする危機情報連絡員会議を開催し、情報収集に当たった。三村申吾知事は「度重なるミサイル発射は県民の安全・安心を脅かす憂慮すべき事態。容認することはできない」との談話を出した。