持続可能をテーマに国内外でエネルギー問題を取材するノンフィクションライターの高橋真樹氏に現状と課題を聞いた。

 福島第1原発事故は、福島を犠牲にして首都圏がエネルギーを享受していたことを明らかにした。だが、6年8カ月後の東京は、事故など無かったかのような雰囲気だ。
 原発はもはや、エネルギー問題としてではなく、経済合理性から捉えるべきだろう。例えば、福島県飯舘村を元に戻すにはいくら掛かるだろうか。原発以外でも発電できるのに、巨大なリスクと問題を抱えて進めるプロジェクトではないことは明らかだ。
 世界は福島の事故に刺激を受けてさまざまな政策を打ち出しているが、いまだ日本はエネルギー政策に大きなビジョンがない。これが最大の不幸だと思う。
 ドイツは2050年までに再生可能エネルギーの使用割合を80%まで高めるという目標を掲げ、年ごとに厳密なプランを立て、自治体に実行を迫っている。
 エネルギー消費量の削減にも力を入れ、住宅の省エネ改修に補助金を出す。省エネ住宅は輸出産業として育ち、地域の工務店もリフォーム受注で潤う。ドイツは環境だけでなく、国益を相当意識している。
 歴史的に東北は東京から踏み付けられてきた。地域の足元を見つめ、お金を地域外に出さない工夫をしないと、収奪される構造はずっと続く。自治体もこれまでのように「大企業を誘致した」と誇るような精神性を変えないといけない。
 にかほ市で発電用風車「夢風(ゆめかぜ)」を建てた首都圏の生活クラブ生協は、立地地域への貢献策として特産物を使った消費材(組合員が共同購入する商品)を地元と共同開発した。売電収益で地域が潤う礎になっており、エネルギーを使った新しい地域の在り方を提示している。都市と地方が対等な関係を築き、互いの利益を考えることが「植民地型」から脱却する鍵になる。
 原発事故を受けて設立された会津電力(喜多方市)をはじめとする「ご当地電力」は地域の公益性を求めて動いている。住民もエネルギーと自治を取り戻すという視点を持ち、地域存続のためにご当地電力を支えていくことが大切だろう。