熊本市議会の緒方夕佳市議(42)が11月22日、生後7カ月の長男を抱いて本会議場の議席に座った。
 議会事務局に託児所設置などを検討できないかどうか相談してきたものの、前向きな回答を得られず、行動に出たという。議長らの説得に応じる形で長男を友人に預け議場に戻ったが、女性の政治活動を巡る一つの問題提起となった。
 その1週間後、60以上の民間団体でつくる「クオータ制を推進する会」の集会が東京・永田町であった。三浦まり上智大教授(政治学)は「子連れで議場に入ることの是非を問うのは、論点がずれている」と指摘した。
 「育児や障害などの事情で政治参画を阻まれる人が排除されないように議会や社会が努力し、環境を整備するのが民主主義。一緒に考えることが大切だ」とも呼び掛けた。
 集会は秋の衆院解散で廃案になった「政治分野の男女共同参画推進法」の成立を訴えようと開かれた。
 10月の衆院選で立候補した人の女性比率は過去最高の17.7%だったが、当選は10.1%にとどまった。内閣府によると、地方議会の女性議員は2016年が12.6%。女性ゼロの町村議会は3割以上を占める。
 法案は超党派の議員連盟が作った。衆参両院や地方議会の選挙で、候補者数をできる限り男女均等にするよう政党に求める。誰もが政治に参画しやすい環境整備を国や自治体の責務と位置付ける。成立すれば、議員活動と子育ての両立を支援する根拠にもなる。
 議連会長の中川正春衆院議員(無所属)は来年の通常国会での決着を見通す。もともと与野党が同調していた法案だ。早急に成立を目指してほしい。
 熊本市議会は緒方氏に文書で厳重注意することを決めた。一方で沢田昌作議長は「女性議員が安心して参加できる仕組みをつくりたい」との考えを示した。
 今回のケースは、子育て中の女性議員を取り巻く環境を巡る議論を改めて喚起した。併せて女性の政治参画促進に向け、地方議会の意識を変えていくきっかけになればいいと感じる。(東京支社・片山佐和子)