福島県楢葉町で東京電力福島第1原発事故後に減少した町の花、ヤマユリを再生させる取り組みが始まった。住民らが地区の花壇などに球根を植え、町内各地で咲き誇ったかつての姿を取り戻し、コミュニティー再生にもつなげる狙いだ。

 活動の中心を担うのは、地元の一般社団法人ならはみらい。町の補助を受け、趣旨に賛同した8行政区にパンジーやスミレの苗などとともに球根を配布した。
 大谷行政区では11月23日、住民9人が雨の中、道路沿いの花壇にヤマユリの球根18株を他の花と一緒に植えた。
 町内では、天神岬スポーツ公園周辺の群生地をはじめ、各地にヤマユリが自生していた。しかし、原発事故で約4年半にわたって全町避難すると、増えたイノシシによる球根の食害が深刻化。除染作業で掘り起こされる例もあり、減少した。
 大谷行政区副区長の猪狩一(はしめ)さん(62)は植え付け作業後、「イノシシによる被害が心配なので大切に育てたい。地域が花できれいになれば、町に帰ろうと考える町民も増えると思う」と話した。
 ならはみらいは自宅での栽培を希望する一部町民にも球根を配布。28日には天神岬スポーツ公園で町民と60株余りを植えた。