東京電力福島第1原発事故の被災者らに対する東電の賠償が、来春までに相次いで一定の区切りを迎える。避難世帯の家賃は自民党が来春以降の支援継続を東電に要請。農林業は一部生産者を対象に支払い方式の変更を協議中だ。避難に伴う精神的賠償も2018年3月で終わり、ケアの在り方が問われそうだ。

 期限を迎える東電の主な賠償は表の通り。避難指示に伴って賃貸住宅に避難した世帯への家賃賠償は18年3月で終了予定。楢葉町を除き無償の利用期間が19年3月まで延長された仮設住宅の入居世帯とずれが生じる事態となっている。

<福島県に寄付案も>
 地元の要請を受けた自民党は今月15日、東電に「知恵を出してほしい」と負担継続を要請。東電は「重く受け止める」(小早川智明社長)と前向きに対応する考えを示した。
 17年度の家賃賠償は約40億円。東電は賠償をやめる代わりに同額を福島県に寄付し、県が家賃支援に充てる案が出ている。
 風評被害が続く農林業では、避難区域外の生産者に対する年明け以降の賠償方式が議論されている。
 東電は風評被害に伴う減収分を1カ月ごとに穴埋めする形で賠償してきたが、18年1月からは3カ月単位に変更する案を提示。原発事故前より収益が悪化した月があっても、市況によって翌月が大幅アップすれば賠償を請求できないケースが出るとみられる。
 県内の農協グループによる協議会は近く、対応を決める見通しだ。
 避難指示が出た区域内の生産者については、原発事故で失われた年間利益について、19年末までの分を一括して支払うことで既に合意している。

<期間延長議論なし>
 一方、精神的賠償は被災者の暮らしを支える側面を担ってきた。今も避難が続く大熊、双葉両町と帰還困難区域に対しては、一括賠償が17年5月分までで終了。6月以降の追加分として古里喪失の慰謝料が支払われている。
 18年3月で終了するのは、17年春までに避難指示が解除された南相馬市小高区など他の避難区域。賠償額は1人当たり計850万円で終わることになる。
 賠償期間延長の議論はなく、自立した暮らしの再建がより重要になる。
 県避難者支援課の深谷一夫課長は「避難長期化で被災者が抱える課題は複雑化している。全国26カ所の生活再建支援拠点などと連携した戸別訪問や情報提供を通じ、被災者支援に当たりたい」と説明する。
 東電によると、同社はこれまで被災者個人に3兆円余、農林業者を含む法人・個人事業者に4兆円余を賠償している。