廃炉作業が続く東京電力福島第1原発について、全国の原発立地自治体のうち約6割の知事・市町村長が視察に訪れていることが、河北新報社のアンケートで分かった。市町村長は対象の8割近くに達し、未曽有の事故を起こした現場にトップ自ら足を運んでいた。
 調査対象は建設・計画中の電源開発の大間(青森県大間町)と中国電力の上関(山口県上関町)を含む13原発が立地する13道県と19市町村(福島県内を除く)。 第1原発の視察経験者は19人。市町村長は宮城県女川町の須田善明町長や青森県東通村の越善靖夫村長ら15人、知事は茨城、新潟、島根、鹿児島の4人。15市町村長のうち11人と知事4人は双葉町や富岡町など原発事故に伴う避難指示が出された区域も訪れている。
 福島市を含む福島県の視察・訪問経験者は計25人。訪問前と比べた印象は11人が「大きく変わった」、7人が「少し変わった」と回答した。この計18人に具体的な変化(複数回答)を聞くと、11人が「被害が想像以上だった」、9人が「復興が想像より遅れていた」を選択した。
 今後の原子力行政や原発再稼働などを考える上で、自治体トップや職員による第1原発視察の必要性も尋ねた。トップの必要性は「大いに」が13人で、東通村、女川町など全て市町村長。「ある程度」は宮城の村井嘉浩氏ら知事3人を含む8人だった。職員の必要性は宮城、島根の知事2人を含む15人が「大いに」、知事5人を含む11人が「ある程度」を選んだ。
 それぞれの地元住民の原発事故被災地への関心度合いは「高い」が8人、「ある程度」が14人。
 自由記述で、九州電力玄海原発を抱える山口祥義佐賀県知事は「二度と同様の事故が起こらないよう、県民の安全を何よりも大切に玄海原発と向き合いたい」などと書いた。
 調査は昨年11月初旬、郵送または電子メールで調査票を送付し、12月下旬までに回答を得た。福島を除く46都道府県知事対象のアンケートと同じ内容で、原発が立地する13道県と19市町村の回答を集計した。