岩手、宮城両県にまたがる北上山地への超大型加速器「国際リニアコライダー(ILC)」の誘致に向け、大船渡市が岩手県沿岸部で初の推進組織を設立した。東日本大震災の復興事業に一服感が漂う中、ポスト復興をにらんで港湾利用などの起爆剤としたい考えだ。
 市は2017年12月にILC推進室を発足させた。企画政策部長をトップとする8人体制で、大船渡港の活用や関連施設整備プランを作る。
 戸田公明市長は「大船渡は候補地に一番近い港湾になる。利便性向上のため、道路も改善されると思う」と期待を寄せる。
 県が大船渡市に整備している工業用地(11.7ヘクタール)の完成エリアでは、立地企業の公募を17年6月に中断した。ILCの誘致実現を見越し、関連資材の荷揚げや検査のスペースを確保するためだ。
 復興特需を背景に震災後、市民所得や市民税が増加していた大船渡市。だが復興事業は昨年度末で進捗(しんちょく)率80%(事業費ベース)を超え、終わりが見えてきた。
 大船渡商工会議所の調査では「前年度より売り上げが落ちた」「次年度はより厳しくなる」と答えた会員企業が、どちらも約50%に上った。
 港湾利用でも大船渡港の国際貿易コンテナ定期航路は震災で休止したまま。同じ重要港湾ながら隣の釜石港はガントリークレーンの設置や、中国、韓国と直結するコンテナ定期航路が就航するなど利活用が活発になっている。
 大船渡市内の港湾関係者は「陸前高田市や住田町を含めた気仙地域一体で取り組まないと、地域が埋没してしまう」と訴える。