「むすび塾」開催地の平塚市は、神奈川県が予測する最大級の津波の場合、地震発生から6分後という短時間に襲来するとされ、迅速な避難が課題となっている。市担当者や参加住民は「避難は時間との勝負。どんな備えをして、起きたらどう動くべきか、東日本大震災の経験に学びたい」と期待する。
 平塚市は人口約26万。市東部を相模川、西部を花水川が流れる。会場のなでしこ地区は花水川河口に近く、津波浸水想定域に住宅や学校、商店が密集する。
 津波に備えて市は昨年11月、既存のハザードマップに「ここまで来れば津波は来ない」という避難目標ポイントを加えた独自の「逃げ地図」を試作。今回の避難訓練は、この逃げ地図を基に避難手順を確認する。
 訓練は3コース別に実施し、それぞれ(1)認知症高齢者のグループホーム(2)自宅でネイルサロンを営む家族(3)中学生から乳児まで娘4人の避難に不安がある家族-の3組が参加。150~300メートル離れた避難目標ポイントまで、6分以内に逃げられるかどうかを実地検証する。
 (3)には市立花水台保育園の保育士らも参加する。園は2月上旬、建て替えのため、なでしこ地区内で内陸から沿岸部に一時移転する。鈴木裕理子園長(58)は「移転を不安視している保護者もおり、命を守るために大切なことを学んで安心度を高めたい」と言う。
 市災害対策課の榎堅吾訓練担当長(45)は「逃げ地図がどこまで有効なのかを確かめ、防災力の向上に生かしたい」と意欲を語る。
 「むすび塾」を共催する神奈川新聞社は震災後、「減災新聞」を開始。毎週日曜日に掲載し、昨年末で第327号を数えた。藤塚正人地域連携局長は「開催地は沿岸部で河口にも近い。被災体験を共有することで津波への地域防災力を高める機会にしたい」と話す。