「6人の分も生きる」
 岩手県陸前高田市の成人式で、小友中(現高田東中)の元野球部員たちは仲間の写真を手に決意を新たにした。
 中学1年のときに東日本大震災に遭い、紺野竜さん、鷹羽柊斗さん、戸羽巧(たける)さん、村上慧悟(けいご)さん、村上駿大(としひろ)さん=いずれも当時(13)=、村上直樹さん=当時(12)=が亡くなった。
 一学年20人のうち、野球部員は11人。幼い頃からいつも一緒で、山で鬼ごっこをしたり、週刊少年ジャンプを回し読みしたり。チームは強くないけれど、みんな仲良しだった。
 あの日も自転車で市街地に出掛けた。大学2年戸羽礼人さん(20)=岩手県矢巾町=ら他のメンバーは、たまたま行かなかった。
 葬儀が続き、感覚がおかしくなった。「地震後に声を掛けていたら…」「親に申し訳なく、合わせる顔がない」。そんな気持ちにもなった。先輩が卒業して部員は5人だけになり、練習もままならない。大会は他校と合同で出場した。
 みんなで決めた学級目標が支えになった。「絆 永遠(とわ)の仲間 20/14」。14人でも心は20人だ-。修学旅行や卒業式も、教室に掲げた仲間の写真を携えた。
 高校卒業後、古里を離れても帰省したら墓前で近況報告する。3月11日は、それぞれの地で黙とうする。
 「成人式も一緒に参加したいです」。家族を一軒一軒訪ねて写真を借りた。
 大学2年佐藤悠介さん(20)=山梨県都留市=は「今考えると、必死で生きてきたのかな」と振り返る。会社員黄川田紅霞(こうが)さん(20)=東京都立川市=は「仲間ができなかった分、いろいろやりたい」と話す。
 鳥を避けようと自転車で転んだ心優しい竜さん、大きな声でチームを安心させた柊斗さん、プラモデル作りが好きな巧さん、中国・三国志ファンの慧悟さん、先生にいたずらしてみんなを笑わせた駿大さん、何事にも積極的な直樹さん。
 集まる機会が減っても「絶対に忘れることはない」。