東京電力福島第1原発事故に伴う避難者の孤立解消が、福島県内で課題になりつつある。災害公営住宅への入居が進み、仮設住宅から環境が大きく変化しているためだ。県は避難者の交流を促そうと自治会づくりを進めるが、担い手確保は容易でない。支え合いの再生と持続の在り方が問われている。(いわき支局・佐藤崇、福島総局・高橋一樹)

 「団地内に知り合いはいない。仮設住宅では集会所にみんなが集まり、にぎやかだったのに」。1人暮らしの若月光子さん(73)は寂しげだ。
 南相馬市小高区から避難し、原町区の災害公営住宅に2017年9月に入居した。友人がいるのは団地外。「いざという時に行き来できる知人が近所にいない」と不安を募らせる。
 県内では17年度末までに計画した避難者向け災害公営住宅の96%に当たる4707戸の整備が終わる。仮設住宅提供は多くの自治体で18年度末までで、集約や撤去が進む。
 孤立感を抱く避難者は増えている。福島大は17年2~3月、福島県双葉郡の住民を対象に実態調査を実施。今後の生活不安を巡り「地域のつながり、交流が薄くなった」と感じているかどうかを聞いたところ「強く当てはまる」が最多の45.9%に上った。

<設立に1年超>
 県の委託で避難者向け住宅のコミュニティーづくりを支援するNPO法人みんぷく(いわき市)は、住民同士が支え合う関係づくりを目指す。自治会設立を後押しし、完成した団地の8割に当たる50団地に誕生した。
 ただ、1年以上を要した例もあるなど設立は簡単でない。17年春に入居が始まった若月さんの団地も自治会がない。設立しても担い手不足で、運営を一部住民に頼っているのが実情だ。
 みんぷくの担当者は避難者による自治会について「ついのすみかと考える住民だけでなく、古里に戻る人や迷っている人もいる。『いい団地に』との意識が広がりにくい面がある」と特有の難しさを指摘する。

<粘り強く訴え>
 浪江町から避難した28世帯が暮らす二本松市の若宮団地。17年7月の開始と同時に入居し、みんぷくの働き掛けで自治会長になった国分一雄さん(66)は「他の役員を探すのが大変だった」と振り返る。
 多くは1人暮らし。仮設住宅のように外から呼び掛けられず、インターホンを鳴らしても出てこない。仮設住宅で自治会役員を経験した人に頼み込み、10月にようやく結成できた。
 浪江町は17年春、避難指示が一部で解除されたばかり。今後の方針を決めかねている人は多く、国分さんは「とにかくなり手がいない。1年の約束で引き受けたが、ずっとやることにならないか」と漏らす。
 みんぷくの赤池孝行理事は「孤立する人をなくし地域とつながるためにも自治会は重要。粘り強く必要性への理解を広げたい」と話す。