東京電力福島第1原発事故に伴う避難者が暮らす福島県内の災害公営住宅では、住民主体で支え合う体制づくりが大きな課題だ。外部の力に頼りすぎず、持続可能な運営に踏み出す動きが出ている。

◎「つながり広げたい」忘年会や体操教室主催

 全町避難が続く大熊町の住民が主に暮らす会津若松市の白虎団地で2017年12月、自治会主催の忘年会があった。「どこの歌の教室に通っているの」「久しぶり。会えてうれしい」。約30人が鍋を囲んだ。
 団地は一戸建ての34戸が6カ所に点在。普段は顔を合わせない住民も多い。16年4月の入居開始とともに市内の仮設住宅から1人で移った井戸川洋子さん(62)は「交流会のおかげでたくさんの町民と知り合える」と笑顔を見せた。
 「次はビンゴ大会ですよ」。事前のチラシ作りから人集め、当日の買い出しや進行まで住民たちだけで企画運営に当たった。
 以前は県の委託で避難者向け住宅のコミュニティーづくりを促すNPO法人みんぷく(いわき市)が全面支援していた。17年度からは市内の5団地で、交流会の主催を自治会に徐々に移している。
 リーダー交流員の三瓶純子さん(47)は「交流員がいると住民がゲストになり、自立や自助努力を妨げてしまう。企画段階から住民に参加してもらうようにした」と語る。県の事業受託は18年度まで。支援終了後の体制づくりを見越す。
 移行当初は「なぜ来てくれないの」と不満も漏れたが、今はほとんどない。自治会副会長の鈴木文雄さん(65)は「活動の中身などをみんぷくに提案することが増えた。孤立してしまわないよう、町民同士のつながりを広げたい」と話す。
 住民の避難元の町村がばらばらな団地では、運営体制が鍵を握る。
 避難者向け公営住宅が県内最多のいわき市。集合住宅6棟の下神白団地(200戸)では、共益費徴収などに当たる棟ごとの管理人と班長の計14人全員が自治会の代議員になり、交流行事の内容などを決める。
 重要事項は総会で決めるが、普段は迅速な意思決定が可能。富岡、大熊、双葉、浪江の各町民が棟ごとに分かれており、代議員は各町民を代表している形だ。
 月曜日から金曜日までカフェ、カラオケ、体操教室、マージャンなど集会所を使う行事がほぼ毎日あり、交流は活発。官民の助成金をうまく活用して全員参加型のイベントや視察旅行を実施しており、今月中旬には初の新年会を開く。
 自治会長の遠藤一広さん(66)は「町ごとのまとまりも尊重しながら全体の行事を大事にしている。仲良く落ち着いて暮らせる環境をつくりたい」と言う。