国によるコメの生産調整(減反)が2018年産から廃止され、半世紀近く続いたコメ政策は大転換期に入る。国内有数の米どころで、農業産出額の多くを依存する東北。転機とどう向き合い、いかに先行きを見通すか。関係者に聞いた。

◎木徳神糧(きとくしんりょう)専務 三沢正博氏

 -2018年産米の需給動向をどうみるか。

<影響予測できず>
 「生産は前年までと変わらないだろう。政府は都道府県別の生産数量目標配分をやめたが、全国ベースでは従来と変わらず735万トンの適正生産量を示した。『目標』という言葉を使わないだけで数字を示すことに変わりはない」

 -生産農家への影響は。
 「17年産まで減反参加農家に支給された7500円のコメの直接支払い交付金がなくなる影響は明確に予測できない。生産を抑制していた縛りがなくなるので増産に向かう可能性はある。われわれコメ卸はそれを期待しているが、大規模生産者が引き受けられる労力、面積も限界がある」

 -新ブランド米が続々と登場する一方で、中食・外食用米は不足している。
 「産地の現状は(消費者が望む物を提供する)マーケットインの生産になっていない。コメ卸や実需者は業務用米が足りないと声を上げている。にもかかわらず欲しいと言っていないブランド米が増産され、欲しいコメが減らされている」

 -東北の現状をどう分析するか。

<輸出用に可能性>
 「青森県産つがるロマン、宮城県産ひとめぼれ、岩手、宮城両県産あきたこまち、山形県産はえぬきなどが足りない。一方で青森の青天の霹靂(へきれき)、岩手の金色の風、宮城のだて正夢、山形の雪若丸など高価格帯のコメの発表が相次ぎ、ブランド米競争が激化している。売れるかどうかを決めるのは消費者。おいしさと価格帯が判断基準になる」

 -産地や国のコメ政策に求められる姿勢は。
 「産地は市場環境を考慮して生産してほしい。間違いなく売れるコメをなぜ作ってもらえないのか不思議だ。飼料用米の生産者に交付金を支払う国の政策は、主食用米が足りない現状を踏まえると見直す時期にある。飼料用米の交付金水準が高いため、主食用米の生産が後回しになる。消費拡大にも予算を措置し、主食用米へと誘導してほしい」

 -政府はコメの輸出拡大を打ち出している。
 「18年度予算案で、輸出用米などの生産農家に対する10アール当たり2万円の交付金枠を新たに盛り込んだのは評価したい。海外で和食ブームが起き、国産米の消費者が増えている。交付金がない輸出用米は見向きもされなかったが、今後は先見性のある生産者が取り組むだろう」
(聞き手は東京支社・小木曽崇)