「次世代型放射光施設」は文部科学省の検討が大詰めを迎え、「国際リニアコライダー(ILC)」は建設費削減の見通しが立った。二つの構想を巡る経過と今後の展開を踏まえながら、それぞれの誘致に取り組む関係者に2018年の展望を聞いた。

◎東北ILC準備室・山本均フェローに聞く

 国際将来加速器委員会(ICFA)の距離短縮の決定によって、建設の実現性が高まった。日本のリーダーシップに期待している。
 素粒子物理学の「標準理論」では、ビッグバンで空間にヒッグス粒子が満ち、他の粒子とぶつかって動きが鈍くなるため質量があるように見える-という仕組みが提唱された。
 2012年の欧州合同原子核研究所(CERN、スイス)の円形加速器でのヒッグス発見によって、標準理論上の粒子は出そろった。しかし、物質に質量を与えるヒッグス自体の重さは測定できていない。
 直線のILCは20キロ、250Gev(ギガ電子ボルト)でヒッグスが最も数多く発生し、99%の精度で測定できる。標準理論を証明するのにうってつけだ。宇宙の26%を満たしながら目に見えない「暗黒物質」が見つかる可能性もある。
 ILCが実現すれば5000人規模の国際的な研究者村ができると言われる。ただ子どもの教育、医療機関、配偶者の就職先という3点が整わなければ、研究者家族は住んでくれない。
 20キロの加速器は岩手県内に収まるが、仙台などを含め、受け入れ態勢をどう整えるかが問われている。(聞き手は報道部・高橋鉄男)