荘内銀行(山形県鶴岡市)の頭取や東北初の広域金融グループ、フィデアホールディングス(HD、仙台市)の取締役会議長を歴任し、1月30日に79歳で死去した町田睿(さとる)氏は、地元経済を支えつつ、仙台圏市場へ積極展開するなど随所に手腕を発揮した。東北の発展に尽力し、温厚な人柄と進取の気性にあふれたバンカーの訃報に、関係者から哀悼の声が相次いだ。
 荘内銀は1999年、山形市のショッピングセンターに出張所を開設したのを契機に、店舗内店舗(インストアブランチ)を精力的に出店するビジネスモデルを確立。仙台市の大型商業施設にも開設し、多くの個人客を開拓した。
 鶴岡商工会議所の早坂剛会頭は「荘内銀を立て直したことが地域にとって大きい。広い視野から山形、秋田、東北の経済を前に進めるべく指導してもらった」としのんだ。
 大きな功績の一つが、県境を越えた北都銀行(秋田市)との経営統合によるフィデアHDの発足。皆川治鶴岡市長は「統合は町田さん抜きではあり得なかった。日本海沿岸地域の発展に貢献した」と悼んだ。
 町田氏は秋田、山形両県へのインフラ投資も訴え続け、存在感を発揮した。
 手腕が評価され、東北公益文科大(酒田市)の学長に就き、大学経営の立て直しにも奔走。同大の新田嘉一理事長は「経営に対する厳しさと人への優しさを兼ね備えていた。教育の面でも地域を支えてくれた」と話した。
 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故後は、風力発電会社に融資し、再生可能エネルギーの普及を支援するなど、チャレンジ精神は最後まで衰えなかった。