東日本大震災の教訓を生かすため河北新報社は4日、防災ワークショップ「むすび塾」を神奈川県平塚市で開いた。神奈川新聞社(横浜市)との共催で通算75回目。相模湾と花水川に囲まれた同市なでしこ地区で津波避難訓練を実施し、住民が宮城県の震災語り部や専門家を交えて訓練結果を検証しながら、迅速な避難に向けた課題を話し合った。
 訓練は相模沖などを震源とする大地震を想定。神奈川県が2015年2月に更新した津波浸水予測で「地震発生から6分で最大9.6メートルの津波が押し寄せる」とされた見通しを基に、約30人がグループホームや保育園など3カ所を起点とする訓練に取り組んだ。
 避難先は平塚市が昨年11月に作った「逃げ地図」で示した高台。各地域から高台への最短ルートを記した逃げ地図に沿い、車いすの高齢者や親子連れらが経路や危険箇所を点検しながら150~300メートル先を目指し、6分以内で着けるかどうかを確認した。
 大半が3~4分で避難した一方、高齢者のグループホーム「へいあんなでしこ」からは車いすの移動に時間を要して約6分40秒かかり、地域住民ら7人が参加した語り合いで課題を共有した。同ホーム管理者の川島航(わたる)さん(29)は「予想よりは早く避難できたが、夜間はスタッフが少ない。危機意識を高めて備えたい」と語った。
 初めての実地訓練となった逃げ地図については「『ここまで来ればひとまず大丈夫』という場所を実感できた」「避難の目印ができてありがたい」と評価する声が上がった。
 宮城県亘理町の菊池敏夫さん(68)は「津波は時速20~30キロで襲ってくる。避難に時間がかかる場合は無理に移動せず、避難ビルに上がるなど垂直避難も考えたらどうか」と助言。撫子(なでしこ)原自治会長の臼井照司さん(69)は「ブロック塀の倒壊や渋滞などもあり得る。今後も住民同士で話し合い、迅速な避難の在り方を考えたい」と語った。
 河北新報社は14年から地方紙連携によるむすび塾を開催している。共催むすび塾は通算11回目で、神奈川新聞社との共催は初めて。
(詳報を11日の朝刊に掲載します)