東日本大震災で1次避難場所に指定されていない岩手県釜石市鵜住居(うのすまい)地区防災センターに避難後、津波の犠牲となった市立幼稚園の女性臨時職員=当時(31)=の遺族が市に約9300万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審は6日、仙台高裁で結審し、小林久起裁判長は和解を勧告した。
 小林裁判長は「(防災)行政の在り方について、将来に建設的な解決ができないかと考えている」として判決期日を指定せず、和解協議を続ける意向を示した。遺族側、市側双方が協議を受け入れる方針。
 控訴審で遺族側は、園が震災前に作成した災害時の行動指針は避難経路が未検討だったとし、「センターが正しい避難場所でないことを市が周知せず、センターを1次避難場所と誤解して避難した可能性が高い」と主張。市側は「園は津波浸水予想区域外にあり、津波到達は想定できなかった。センターが避難場所でないことまで周知する義務はない」と反論していた。
 昨年4月の盛岡地裁判決は、震災前から市は正しい1次避難場所を周知し、女性職員は自らの判断でセンターに避難したと認定。遺族側の訴えを退けた。