東日本大震災で被災した岩手県沿岸部の労働力不足を補おうと、県や地元自治体がシニア層や子育て世代の女性に着目している。就労の鍵はシフトや業務の細分化で短時間だけ働く「プチ勤務」だ。育児や介護、家事との両立が可能で、仕事のブランクがある人も挑戦しやすい働き方として企業に導入を促す。
 県沿岸広域振興局は1月末、釜石市で高齢者向け「からだ測定会」を開催した。体力や手先の器用さ、記憶力や判断力を判定。適性のある仕事を割り出し、併せて求人情報も提供した。
 振興局は市内の60~79歳のうち、働いていない約7300人を「潜在労働力」と位置付けた。二宮康洋産業振興課長は「能力や適職を知り、再び働く意欲を持つきっかけにしてほしい」と測定会の狙いを説明する。
 岩手労働局によると、公共職業安定所別の有効求人倍率(昨年12月)は釜石1.89倍、大船渡1.82倍など。震災後の人口流出で、労働力不足の改善が見通せない状況だ。
 そこで振興局は大手企業と連携し、プチ勤務の普及に乗り出した。介護施設の送迎、商品陳列などの軽作業で「週2日、1日2時間」といった勤務形態を提唱する。
 市とともにプチ勤務を取り入れた地元企業の求人情報を冊子にし、全戸配布した。大船渡市でも導入を呼び掛ける企業向け説明会を開いた。業務の分担で正社員らの負担軽減が図ることができるなど、プチ勤務は雇用側にも利点があるという。
 釜石市商業観光課は「仕事から離れていた人や体力に不安のある人にとってプチ勤務は就労の取っ掛かりとなる。習熟度や子どもの成長に合わせ、将来はフルタイムで働くことも期待できる」と話す。