東日本大震災で被災し、当時の町長と職員計約40人が犠牲となった岩手県大槌町の旧役場庁舎について、拙速な解体に反対する住民団体「おおづちの未来と命を考える会」が10日、設立された。3月定例町議会に解体関連費用を含む予算案を提出する方針の平野公三町長と町議会に対し、熟慮を求める請願書を13日に提出する。
 旧庁舎前であった設立集会には町民ら約100人が参加。代表に就任した吉祥寺住職の高橋英悟さん(45)は「子どもや孫のために何をすべきなのか一度立ち止まり、話し合おう。また津波が来ることをどのように伝えていくのか、真剣に考えなければいけない」と呼び掛けた。
 2013年3月に旧庁舎の一部保存を表明した前町長の碇川豊さん(66)が顧問に就き、「震災を忘れず、悲劇を後世に繰り返させてはいけないとの信念で会に加わった」と述べた。
 町職員だった一人娘を亡くし、旧庁舎の保存を望む上野ヒデさん(75)は「会ができて心強い。震災伝承や防災教育の場とするため、残すべきだ」と訴えた。
 集会に出席し、あいさつした平野町長は「解体を公約に町長選で当選した。旧庁舎を見ることに耐え難い思いをする人に寄り添いたい」と解体方針に変わりがないことを強調した。

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 町は17日午後1時半、旧庁舎の解体方針に関する住民説明会を町中央公民館で開く。平野町長が経緯や解体理由を述べる。町民以外も参加、発言できる。

[岩手県大槌町の旧役場庁舎]前町長が震災遺構として一部保存の方針を決めたが、2015年8月の町長選で解体を掲げる平野公三氏が初当選。同年の12月定例町議会に解体関連を含む予算案提出を目指したが、議会の要請で先送りに。16年11月に「当面凍結」とした。17年12月、改めて関連予算案を3月定例会に提出する考えを示した。