東京電力福島第1原発事故に伴い福島市の仮校舎で学ぶ相馬農高飯舘校の演劇部が11、12の両日、東京都内で公演する。3年生の5人が3月に卒業、後輩部員がおらず廃部になるため最後の公演となる。都内で10日、リハーサルがあり、部長の菅野千那さん(18)は「東京の人に福島の現状を伝えたい」と話した。
 福島県飯舘村にあった同校は原発事故で村が全村避難となった後、福島市のプレハブ校舎で授業を続ける。移転後は村外出身の生徒が大半を占める。演劇部は2014年、有志3人が集まって活動が始まった。
 公演する「サテライト仮想劇」は16年に東北地区高校演劇発表会で最優秀賞を獲得。17年8月、仙台市であった全国大会に出場した。学校が村で再開しても、村に通学せずに転校を選ぶ生徒の葛藤を表現する。
 東京での公演は全国大会での舞台を見た劇作家オノマリコさん(34)=神奈川県=が企画。高校の演劇部指導にも携わるオノマさんは「飯舘校は不登校などの事情で全日制に行けない子どもの受け皿にもなった。原発事故という悲劇の結果だが、子どものセーフティーネットになっているのが興味深かった」と話す。
 飯舘村は17年3月末、一部を除き避難指示が解除された。県教委は19年度以降の同校の生徒募集を停止しており、20年3月で閉校となる。県と村は村内での学校再開を目指している。
 飯舘村出身の3年高橋夏海さん(18)は「避難してから村は遠い存在になっているけれど、大切な場所。劇を見た人が村や飯舘校のことを考えてくれればうれしい」と期待する。