夜の海に、まるでハープの弦をたなびかせているかのよう。相馬市の松川浦大橋は、海と浦を隔てる狭い河口のつり橋。
 長さ520メートル、中央部の海面からの高さは16メートル。夜ごと鮮やかにライトアップされているが、7年前の東日本大震災では橋のすぐ下まで津波が迫った。
 沿岸漁業や潮干狩りが盛んだった松川浦とその周辺は、津波で大きな被害を受けた。この7年で岸壁や防波堤は復旧し、全長7キロの海岸道路も間もなく完成する。津波で失われた松林を再生しようと、クロマツの植樹も進む。
 それでも東京電力福島第1原発の事故によって、漁業の復旧は見通せない。
 「試験操業は行っているが、水揚げ量はまだまだ少ない」と、松川浦漁港を拠点に漁業を営む斎藤清信さん(64)が言う。ライトアップされた橋のたもとにたたずむ漁船が、どことなく寂しげに見えた。
文と写真 写真部・佐藤将史

[メモ]松川浦大橋は、高さ58メートルの二つの塔から斜めに張ったケーブルで支えられている。横浜ベイブリッジなどと同じ構造。ライトアップは3月までは午後6~9時、4月から午後6時半~9時半。橋を渡って漁港には行けるが、その先の海岸道路はまだ通れない。