初出場の小林陵が日本勢最高の7位入賞と健闘した。決勝2回目に進めなかった兄の潤志郎の分まで思いを込めて飛躍。16、17日のラージヒル、19日の団体へ、弾みをつけた。
 1本目。強風でゲートを1度外れても「集中は切れなかった」。タイミング良く踏み切ると、スムーズに飛型に移行した。ヒルサイズ(109メートル)に迫る108メートル。着地後、誇らしげに両手の人さし指を立てた。
 これで気持ちが乗った。課題としていた2本目も秒速2.32メートルの向かい風をうまく捉えた。またも108メートル。ワールドカップ(W杯)は緊張から自分の飛躍を2本そろえることが難しかった。隣国の大会は「観客席に日本人やアジア人が多く、アウェーであることを感じなかった」。初の大舞台とは思えないほど、最後まで落ち着いていた。
 所属先の監督で、冬季五輪史上最多8度目の出場の葛西紀明が「すごい。もう一つレベルを上げてもらい、団体でアンカーを任せたい」とたたえるほどだった。
 今季はW杯初戦で優勝した潤志郎に先を越された。トップ10入りはなく、一躍注目を浴び始めた兄の陰に隠れる形になってしまった。その兄が決勝1回目で失敗しまさかの敗退。2回目に臨む前、落ち込む潤志郎に言った。「敵を取る」。闘争心に火が付いていた。
 この日、2本とも108メートルに達したのは陵侑だけ。トップ選手に比べ一本の爆発力はまだ足りないが、その差を埋めれば、ラージヒルと団体でさらに順位を上げられそうだ。
 「(7位入賞は)予想以上。手応えがある。ラージヒルも自分のジャンプをする」。いつもは言葉数の少ない21歳が、この日ばかりは舌も滑らか。笑みもこぼれた。しっかり上昇気流をつかんでいる。(平昌=佐藤夏樹)