秋田県五城目町は、約10年前からキイチゴの栽培に取り組んでいる。「フリー研究者」を自認する柳沢龍さん(31)は4年前、地域おこし協力隊員として町に入った。「40年後にキイチゴで食っていける町にする」と、生産量拡大や販路開拓、農家所得向上に知恵を絞る。(秋田総局・藤沢和久)

◎キイチゴの収益化 秋田・五城目で取り組む 柳沢龍さん(31)

 -五城目町を選んだきっかけは。
 「友人の誘いです。前職を辞めるとほぼ同時に地域おこし協力隊に応募しました。オフィスが旧馬場目小校舎を使った地域活性化支援センターで、『役場ができないことをしてくれ』という意図を感じました」

 -地域に溶け込むこつはありますか。
 「町役場の担当者に人を紹介してもらい、広げていきました。雇用創出も6次産業化も町では誰も困っていないし、やろうとも思っていない。時間をかけて人間関係をつくり、一人一人が思い描いていることを聞く。その先に、僕らが何を描けるかを話しました」

 -就任直後からキイチゴの栽培を試みました。
 「古い農業用ハウスをもらって植え、栽培2年目に最大20キロ出荷しました。収穫期は2週間かかりきりで、時給に換算すると300円くらい。作ることの楽しさはあるけれど、現状では移住者がそれだけで生活するのは無理です」

 -栽培上の課題は。
 「出荷量を増やし、単価を上げる障害となっているのが収穫時の人手の確保です。キイチゴはつぶれやすいため、選別してバットに並べ、冷凍する作業に収穫以上の時間がかかります。シルバー人材センターや大学生、障害者を活用することを考えています」

 -昨年、キイチゴの葉のお茶を開発しました。
 「実に養分を集中させるために切る芽が原料です。6月に花が付く前に香りが残っている葉を摘みます。ほうじ茶のような風味で、キイチゴのさっぱりした香りを後に感じます」
 「町の障害者施設に加工を依頼し、伝統茶を扱う横浜の会社と組んで1缶(16グラム)1800円で販売しました。初めて取り組んだ昨年は90缶でしたが、完売しました。来年以降は高級ホテルやセレクトショップで扱ってもらう計画です」

 -将来の目標は。
 「キイチゴで食べていける町です。40年かけて年商40億円を目指します。ユズが一大産業になっている高知県馬路村のように、キイチゴをなりわいにする人がたくさん現れるようになればいいと思います」