東北地方などの森林に分布するチシマザサの成長過程を、秋田県立大と山形大、東北大の研究グループが解明した。一斉に開花して枯れた後、日が差し込む場所の株から地下茎を伸ばし、日当たりの悪い所でも芽を出すことなどが分かった。チシマザサの密生で生育に悪影響を受けるブナ林の保全や、繁殖力の強い外来種の対策につながる可能性がある。
 チシマザサは地下茎を伸ばして広がり、開花周期は約100年とされる。
 研究では(1)植生の回復には20年以上かかる(2)日が差す場所ほど芽が生き残りやすい(3)暗い林では枯死後10年目以降、回復が加速する(4)暗い林では明るい場所から地下茎が伸びてくる-などが分かった。
 秋田県立大生物資源科学部の蒔田明史教授(森林生態学)は「ササは地下茎で炭水化物をやりとりする。ブナ林でのチシマザサの密生は、明るい場所での光合成で成り立っている可能性がある」と分析する。
 チシマザサが密生すると日光が遮られ、ブナなどの世代交代が進みにくくなる。ブナ林の上の明るさを100とした場合、茂ったチシマザサの下では1以下になることもあり、ブナの種から芽が生えても大半は1年以内に枯れるという。
 ササと同様に地下茎などで広がる性質を持つ植物には、ニセアカシアなどの侵略的外来種も多く、対策への応用が期待できる。
 研究グループは地下茎が暗所に広がる理由などをさらに調べる。蒔田教授は「暗い場所は競争相手が少なく、土の養分が多いのかもしれない。光合成ができる場所とつながり、足りない分を補い合っている可能性がある」と仮説を立てる。
 研究グループは、十和田湖畔の発荷峠(十和田市、秋田県小坂町)で1995年に1000ヘクタール以上の範囲で一斉開花したチシマザサの集団を対象に、葉のDNAを分析するなどして株の広がりを調べた。

[チシマザサ]高さ3メートル以上に成長する大型のササ。東北の日本海側をはじめ本州、北海道など広範囲に分布。地表面を覆うように密生し、ブナなどの樹木の発芽や幼木の生育を妨げることもある。タケノコはネマガリタケとして食用になる。