教員からアカデミックハラスメント(アカハラ)を受け、山形大工学部(米沢市)の男子学生が自殺した問題で、実態を調査した第三者委員会の資料など2件の文書開示請求に対する同大の全面不開示決定を、総務省の情報公開・個人情報保護審査会が2017年12月、「違法で取り消すべきだ」と答申していたことが1日、分かった。

 同大は17年9月、職員組合が行った労働問題関連文書の開示請求にも全面不開示を決定。組合側の審査請求に、審査会は同じく12月に「違法で取り消すべきだ」と答申していた。
 国の審査会が同一機関の不開示決定3件を相次いで「違法」と判断するのは極めて異例。同大の情報公開に対する消極的な姿勢が改めて浮き彫りになった。
 関係者によると、「違法」と指摘されたのは(1)男子学生の自殺に関する第三者委調査報告書など(2)工学部で過去5年間にあったアカハラ事案関連文書(3)職員組合が開示請求した労基署による是正勧告書など-の全面不開示決定。
 決定は17年8月22日~9月13日付で、通知書には開示請求に該当した文書名の記載がなかった上、不開示とした具体的な理由も記していなかった。
 審査会は同年12月8~19日、3件の不開示決定について「(不開示理由の提示を定めた)行政手続法に照らして違法」と指摘。決定を「取り消すべきである」と大学に答申した。大学は(1)該当文書の名称(2)開示しない部分(3)その理由-を列挙した別紙を添付した上で部分開示した。
 審査会事務局によると、16年度に出された全答申1198件のうち、76.1%に当たる912件は決定を「妥当」と判断。山形大への答申のように「妥当でない」に分類されたのは75件(6.3%)だった。
 答申1件当たりの審査期間についても、全答申の平均が249.5日だった一方で、同大に出された3件は平均60.3日。異例の早さで「違法」と結論付けられていた。
 山形大総務課の担当者は「審議期間2カ月は最短だと、答申を受ける際に説明を受けた。現在は指導に沿って適切に情報公開している」と話した。

[山形大生アカハラ自殺問題]工学部の4年生だった男子学生が2015年11月に自殺した。16年6月、第三者調査委員会は指導教員の助教によるアカハラと自殺の因果関係を認める報告書を作成した。報告書によると、自殺の2日前も、卒業研究の発表練習会で助教から内容の不備について厳しい言葉で指導されていた。両親から相談を受けた複数の教員は、いずれも相談内容をハラスメント担当者に伝えていなかった。両親は大学と助教に計約1億1900万円の損害賠償を求める訴えを起こし、山形地裁で係争中。

[国の情報公開・個人情報保護審査会答申までの流れ]省庁や国立大などの独立行政法人が情報開示請求に対し不開示や部分開示とした決定に異議がある場合、行政不服審査法に基づいて審査請求することができる。請求を受けた行政機関は原則、学識経験者らでつくる総務省の情報公開・個人情報保護審査会に諮問。審査会は決定の適否を答申する。答申に法的な拘束力はないが、各行政機関は答申を踏まえて対応するのが通例となっている。