建築用木質部材の耐火性能を検証するため、秋田県立大が整備を進めていた耐火試験棟が、同県能代市にある同大木材高度加工研究所に完成した。水平炉など3種類の試験炉を備えた施設は東北初。9月に試運転を始める。
 木質部材の研究開発には耐火設備が不可欠だが、3種類の炉がそろう施設は埼玉、大阪などに限られていた。同大は「輸送コスト削減や迅速な研究開発につながる」と利点を強調する。
 試験棟は広さ約600平方メートル。床や屋根、はりの耐火試験を行う水平炉と、壁炉、柱炉を備える。関連する加工機器を含めた事業費は約6億6000万円。
 木高研には小型の壁炉があるが、幅1メートル、高さ2メートルの扉程度の大きさしか試験できなかった。新施設では壁炉の場合、幅3メートル、高さ3メートルまでの部材を試験することができる。
 2000年の建築基準法改正で、木質部材でも耐火建築が可能になった。耐火性能の向上には木材を薬剤処理する方法や、鉄筋コンクリートや鉄などと組み合わせたハイブリッド構造とする方法がある。いずれも部材を燃やし、耐火性能を確かめる必要がある。
 国内で3種類の炉がそろっているのは建材試験センター中央試験所(埼玉県草加市)、日本建築総合試験所試験研究センター(大阪府吹田市など)など。同大は木高研の研究開発機能の強化を目的に新施設を整備したが、他企業からの試験依頼も引き受ける。
 ハイブリッド構造を研究する同大システム科学技術学部の板垣直行教授(建築材料学)は「近くに耐火試験炉があれば繰り返し試験ができる」と語る。木高研の林知行所長は「施設の完成によって木高研の潜在的能力が高まる。木材の研究機関として地域貢献につなげたい」と話す。