九州と沖縄の中間に位置し、固有の動植物が数多く生息する奄美群島は今夏の世界自然遺産登録を目指している。亜熱帯の温暖な気候や、薩摩と琉球の影響を受けた独自の文化も魅力だ。世界遺産登録を前に旅行会社は東北からも誘客を強化しており、沖縄に続く南国の人気観光地になる可能性を秘める。2月下旬、日本航空の招きで現地を訪ねた。(報道部・保科暁史)

 奄美の自然を最も体感できるのが、原生林が広がる金作原(きんさくばる)だ。10メートル以上に育つシダ類ヒカゲヘゴなどの亜熱帯性植物に覆われ、ジャングルのような雰囲気。瑠璃色の鳥のルリカケスなど固有種も多い。
 世界遺産登録に向けて2月、一般車両の乗り入れを制限する実証実験を実施した。散策ツアーのガイドの西條和久さん(56)は「世界でここにしかない自然を感じられる。観光とともに自然保護に対する機運も盛り上げたい」と語る。
 奄美大島には、国内2番目の広さのマングローブ原生林もある。複雑に分かれた幹のトンネルをくぐるカヌーツアーは南国ならではの体験だ。
 奄美大島から他の7島には飛行機や船で渡る。奄美大島に次ぐ面積と人口の徳之島へは空路で35分。闘牛や長寿、出生率の高さで有名な島内は牧歌的な景色が広がる。
 徳之島の元天城町職員で観光ガイドを務める柳和憲さん(61)は「商業化していない素朴さが沖縄との違い。世界遺産登録という千載一遇のチャンスを生かし、島の魅力を伝えていきたい」と意気込む。
 奄美群島の観光資源は自然だけではない。マリンスポーツや沖縄の影響を受けた島料理、口伝で歌い継がれる島唄、1300年の歴史がある伝統工芸の大島紬(つむぎ)、奄美でしか製造が認められていない黒糖焼酎などが観光客を引きつける。
 仙台空港からは日本航空便を利用すると、伊丹空港を経由して3時間40分で奄美空港に着く。格安航空会社(LCC)が2014年7月に成田線、17年3月に関西線を開設し、交通アクセスも向上している。
 阪急交通社仙台支店は昨年5月から仙台空港発着の奄美群島ツアーを展開。60~70代を中心に予想を上回る反響があるという。
 同社の担当者は「個人旅行の訪問先としても人気が高まっている。世界遺産登録の効果は間違いなくあり、新たな人気観光地になる可能性もある」と説明する。

[奄美群島]鹿児島県の奄美大島、徳之島、加計呂麻島(かけろまじま)、請島(うけじま)、与路島(よろじま)、喜界島(きかいじま)、沖永良部島(おきのえらぶじま)、与論島(よろんとう)の八つの有人島で構成。島々が大陸から分離する過程で独自の生物進化を遂げ、アマミノクロウサギなど数多くの固有種が生息する。奄美大島と徳之島が沖縄県の沖縄島北部、西表島(いりおもてじま)とともに世界自然遺産の候補地となり、今夏の登録が予定されている。