東日本大震災の発生時、近所の助けで難を逃れた全盲の吉田千寿子さん(81)=陸前高田市=の体験談が紙芝居になって11日、地元で披露された。市内の読書ボランティアが作り、学校や高齢者のお茶会で語り継いでいくという。
 吉田さんが命からがら避難した慈恩寺で紙芝居「命のきんちゃくぶくろ」のお披露目会があり、吉田さんも近所の人たちと耳を傾けた。
 自宅で地震に見舞われた吉田さんは1人で逃げることもかなわず、一時は避難を諦めた。その時、薬の入った巾着袋が手元に落ち「死んではなんねえ」と思い直した。
 誰かに見つけてもらおうと外に出て、大声で助けを求めたところに隣家の知り合いが駆け付け、一緒に約150メートル離れた寺へと逃げた。津波は吉田さんの膝元まで襲ってきたという。
 「自分は逃げ遅れた」と振り返る吉田さん。今は「生きていてよかった。恥ずかしいとか迷惑を掛けるとか考えずに人の手を借り、いち早く行動してほしい」と呼び掛ける。
 震災では障害者が逃げ遅れて犠牲になったり、障害者を助けようとして津波にのまれたりする悲劇が各地であった。
 読書ボランティアの磐井律子さん(74)は「家族や近所同士で普段から話し合い、災害弱者と信頼関係を築いてほしい。作品をきっかけに、弱者が一人ではどうすることもできない世の中の仕組みを変えたい」と話した。