東日本大震災後、被災した自治体の復旧復興を支援するため宮城県に派遣された熊本県の行政職員が、熊本地震で被災した地元に戻り、古里の復興に尽力している。遠く離れた東北の災害現場で培った経験を生かし、被災者の生活やインフラの再建に奔走する。

 熊本県住宅課の笹渕英樹さん(47)は2012年度の1年間、建築技師として宮城県に派遣され、学校など県施設の復旧や災害公営住宅の整備に携わった。くしくも現在は、熊本の被災地で災害公営住宅整備の中心役を担っている。
 東北の被災地の事例を参考にすることも多く、「宮城県庁の知人に電話一本で情報提供をお願いできて助かっている」と話す。熊本県は19年度中に計1735戸の災害公営住宅を整備する方針。設計や着工は約6割まで進んでおり、「宮城での経験を基に目標を達成したい」と意気込む。
 地震による土砂災害が相次いだ阿蘇市や南阿蘇村でインフラ復旧を担当する県阿蘇地域振興局の布田久雄さん(46)は13年度の1年間、土木技師として東松島市に派遣された。防潮堤整備や沿岸部の工業団地の跡地利用の計画づくりに携わり、「大規模な事業を動かした経験が今の仕事に生きている」と振り返る。
 熊本地震の発生直後、がれき処理の支援で東松島市職員が応援に来てくれた。「本当にうれしかった。東北で築いた人のつながりを大切にしたい」と語る。
 熊本県によると11~16年度、宮城県内の被災自治体に半年以上派遣された熊本県職員は延べ67人。岩手、福島両県にも同期間、10人が応援に入った。熊本県内の市町村からも、40人以上の職員が宮城県内の自治体に長期派遣された。
(報道部・小沢邦嘉)