熊本地震で震度7の揺れに2度襲われ、住宅の約6割が全半壊した熊本県益城(ましき)町では、今なお6000人以上が仮設住宅で避難生活を送る。支援の継続が課題となる中、東日本大震災の被災地で子どもたちをサポートするNPO法人が町内の仮設住宅団地で夜間学習会を開き、中高生に学びの場を提供し続けている。(報道部・小沢邦嘉)

 「学校のクラス替え、仲良い子と一緒になった?」「晩ご飯は何食べたの?」
 11日午後7時すぎ、町内の木山仮設団地の集会所に集まってきた中高生に、NPO法人カタリバ(東京)の職員井下友梨花さん(29)が明るく声を掛けた。子どもたちは教科書や参考書を広げ、約2時間の自習に取り組んだ。
 この日の参加者は6人。大学生がクイズ形式で出題し、中高生が回答する時間もあった。高校1年の後藤壮梧君(15)は「和やかな雰囲気が好き。通うのが楽しいし、勉強もはかどる」と話した。
 夜間学習会は地震から7カ月後の2016年11月に始まった。木山仮設、テクノ仮設の両団地で週3回ほど開かれ、それぞれ10人前後が参加。カタリバ職員やボランティアの大学生が付き添い、学習の相談などにも応じている。
 カタリバは元々、首都圏で高校生らのキャリア教育を手掛けていた。東日本大震災で被災した子どもを支えようと11年、宮城県女川町と岩手県大槌町に「放課後学校」を開設。学習指導や心のケアを担ってきた。
 熊本地震の後、女川のスタッフだった芳岡孝将さん(33)らが益城町に入り、活動内容を検討。地震の翌月、中学校で放課後の自主学習支援を始めた。現在も「ましき夢創(むそう)塾」として、放課後支援と仮設団地での夜間学習会を開催する。
 夢創塾で先月まで活動し、女川に戻った芳岡さんは「子どもたちがほっとできる居場所をつくりたい思いもあった。つらい経験を心の強さに変えて巣立ってほしい」とエールを送る。
 民間の寄付金に頼る夢創塾の活動は、ひとまず本年度いっぱいとなる予定だ。カタリバ職員の井下さんは「大学生ボランティアと地域住民が協力する形で、引き続き運営できる方法を模索したい」と先を見据える。