東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示が昨年春に解除された福島県川俣町山木屋地区に15日、全域避難が続く同県双葉町のヒガンバナの球根約3000個が移植された。人を呼び込みたい山木屋側と花を残したい双葉側が、人々を癒やす花畑を作るために協力した。
 移植されたのは、双葉町細谷地区の町道沿いで毎年咲いているヒガンバナ。原発事故の約1年前に住民が植えたが、避難後は秋に咲く花を一時立ち入りの町民らだけが見る状態だった。
 山木屋では自治会副会長の菅野源勝さん(70)が自宅の畑などに季節ごとに咲く花を植え、帰還途上の地域を盛り上げる構想を温めていた。交流のあった細谷地区の住民が菅野さんに球根の提供を申し出た。
 細谷地区は除染廃棄物の中間貯蔵施設の建設が予定され、帰還は当面難しい。菅野さんは「山木屋を花でいっぱいにし、古里に戻れない人が癒やされる場にもしたい」と意気込む。
 15日は両地区住民や支援者ら約30人が球根を植えた。細谷地区から避難し、郡山市に暮らす田中信一さん(67)は「花が残れば心のよりどころになる。咲いたら見に来たい」と話した。