国立社会保障・人口問題研究所の2045年将来推計で、「人口半減」の悲観的な見通しに東日本大震災の被災市町村が危機感を募らせている。住まいの再建といった復興事業が遅れ、内陸自治体などへの転居に歯止めがかかっていない。婚活や子育て、就業・創業支援など、独自に定住促進策の充実を急いでいる。

●岩手県大槌町 
 45年の人口は6220で、15年に比べ5539(47.1%)の大幅減となる見通し。町総合政策課は「復旧復興事業は道半ばだが、人口流出に改めて危機感を強めなければならない」と表情を曇らせる。
 震災では町民の1割に当たる1286人が犠牲になった。15年国勢調査では人口が10年比で3517減り、減少率23.0%は県内で最も高かった。
 町は15年度策定の人口ビジョンで40年の目標を9000と設定し、婚活支援を重要施策に位置付けた。婚姻届受理件数を年間45.8件(10~14年実績値)から50件に引き上げ、17年度に出会いの場を創出する事業者に助成金を交付した。
 町の担当者は「人口減は避けられず、下がり幅を狭める努力が必要。復興支援で町を訪れた多くの人とつながりが生まれており、定住につなげたい」と話す。

●宮城県女川町 
 人口は15年比で3309減(52.2%)の3025に落ち込み、45年までの減少率は県内沿岸で最大だった。0~14歳人口は6.7%で、県全体の推計(9.6%)を大幅に下回る。
 町は震災後、学習塾の月謝や高校の通学費、下宿費の助成制度を創設した。病児病後児保育室「じょっこおながわ」を開設し、共働き世代を後押しする。
 移住定住の促進に向けた就業・創業支援も拡充。賃料や光熱費の助成で1カ月程度の町内滞在を促す「お試し移住」や、専門家が起業の経営ノウハウを伝える研修プログラムも始めた。
 阿部敏彦総務課長は「町を生活基盤とする人口は減るが、活動人口を増やす取り組みで経済は活性化できる。選択される町を目指したい」と前を見据える。
 町の子育て応援サークル「マザーズリング」の沢田洋美代表は「商業施設が減るなど生活は不便になったが、住みたいと感じさせる動機づくりが必要。子育て世代への住宅建築支援など魅力的な施策を打ち出してほしい」と期待する。