はがきを使った架空請求詐欺の相談が今年、東北で急増している。中でも宮城県では1200件を超え、前年同期の20倍以上に達した。近年はスマートフォンを使った犯行が横行し、はがきは下火になっていた。古典的手口の予想外の盛り返しに、各県警は警戒を強めている。
 仙台市青葉区の無職女性(70)宅に4月14日、「消費料金に関する訴訟最終告知のお知らせ」と書かれたはがきが届いた。「契約不履行で民事訴訟の訴状が出された」と記されている。
 さらに、訴訟取り下げに向け、実在しない「法務省関連の民間訴訟告知センター」に電話するよう指示している。不審に思った女性が仙台北署に相談し、架空請求詐欺と判明した。女性は「身に覚えがなく驚いた」と振り返る。
 疑問を持たずに連絡すれば、女性はそのまま詐欺グループの手中で踊らされた可能性もある。北署の金野聡生活安全課長は「一人で悩まず、家族や警察に相談してほしい」と話す。
 宮城県警によると、県内で今年、はがきを使った架空請求の相談は4月下旬までで約1200件に上った。既に昨年1年間の約500件を大幅に上回っている。
 県警に寄せられる各種相談件数に占める割合も約6%となっており、昨年実績の0.27%から飛躍的に高まった。被害も4件計2330万円(4月24日現在)と、昨年1年間の3件170万円と比べて甚大だ。
 東北では秋田、福島両県も同じ傾向を示す。いずれも昨年末から同種手口が急増しているという。「送付先が特定の自治体に集中している。何らかの名簿が悪用されている可能性がある」(秋田県警)と警戒を強める。
 はがきの活用は、10年ほど前までは典型的ともいえる手口だった。スマホが普及した近年はショートメールを使った手口が架空請求全体の約9割を占め、はがきは姿を消しつつあった。
 宮城県警生活安全企画課の担当者は「新たな手口が出る度に防止対策が講じられている。いたちごっこの結果、一巡して古い手法が再び使われ始めているのではないか」と推測。「スマホになじみのない高齢者を標的にした可能性がある」との見方も示した。